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28日明らかになった海洋基本計画の原案は、離島の監視強化など、現行の基本計画(2008年決定)では乏しかった海洋権益を守るための具体策を明 示したことが特徴だ。沖縄県の尖閣諸島周辺で中国が示威行動を繰り返す中、領土・領海を守る姿勢を強調する安倍首相にとって、今回の基本計画の内容は、内 外に強いメッセージを発信する意味合いもある。 (政治部 石田浩之)

基本計画原案
原案では、日本の海を取り巻く現状を「諸外国との摩擦が顕在化し、我が国排他的経済水域(EEZ)内での外国漁船による違法操業や事前通報と異なった海域 での海洋調査が行われている」として、危機感を明確にした。昨年の尖閣諸島国有化を契機に中国が挑発行為を繰り返すなど、日本の周辺海域を巡る状況は厳し さを増している。与那国島(沖縄県)への陸上自衛隊の沿岸監視部隊配置や、航空自衛隊の移動警戒管制レーダーの展開地の整備、早期警戒機(E2C)の継続 的運用のための那覇基地の受け入れ態勢拡充を盛り込んだのも、そうした変化を踏まえたものだ。
離島保全も、現行計画が策定されて以降、急速に必要性が高まった課題だ。

原案は「我が国の領海、排他的経済水域の外縁を根拠づける離島の安定的な保全、管理を重点的に推進する」と強調。日本最東端の南鳥島(東京都)と最 南端の沖ノ鳥島(同)については「輸送や補給等が可能な活動拠点を整備する」と明記した。南鳥島沖では大量のレアアースの存在が確認されており、エネル ギー政策上、保全強化が急務だからだ。人の住む離島に関しても、人口減少防止策を図るとした。

 

現在の海洋基本計画と新計画の比較

 

□現状分析
新計画=諸外国との摩擦が顕在化し、我が国のEEZ内の外国漁船の違法操業や事前通報と異なる海域での海洋調査が発生
現計画=密輸・密入国、工作船の侵入、周辺国海軍艦船の活動活発化

 

□海洋の安全確保
新計画=海上保安庁と自衛隊の装備を計画的に整備
現計画=(海保、自衛隊に関する記述なし)

 

□離島の保全
新計画=与那国島に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配置。
早期警戒機の運用のため那覇基地の態勢拡充

現計画=(離島の監視、警戒体制の記述なし)

 

□海洋資源開発
新計画=メタンハイドレートについて、2018年度をめどに商業化の実現に向けた技術整備を行う
レアアースの資源量調査を13年度から3年間程度で実施
現計画=メタンハイドレートは今後10年をめどに商業化を実現する
(レアアースに関する記述なし)

 

# 冒頭の画像は、中国の海監と日本の漁船の間に割り込み日本の漁船を守る海保

海洋権益国内外に強調 自衛隊・監視部隊を配備 (3/1 読売朝刊)

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